02、真理と人格
03、光と力
04、僧道の復興
05、山頂に叫ぶ
06、魚の子は多けれど
07、泥の中の花
08、平和の道
09、せめてもの
10、ふと聞いた落語
11、目に見えない世界
12、樹下の戦い
13、宇宙を制する大音響
14、目に見えないもの
15、人間賛歌『願生の人』
16、唯我一人の悲願に生きる人々
17、組織の中に道心なし
18、末法の修行は人間礼拝
19、鷲峰会の目的とその使命
20、本仏の浄土は厳然としている
21、正法の宣布か寺門の興隆か
22、正法を見る者は仏陀を見る
23、神々をも指導する人々
24、菩薩道の実践なくして
25、成仏に対する絶対的条件
26、ほんものとうつしもの
27、一国一宇本化僧堂の建設
28、ここに道あり
29、実践者と代弁者
30、奇蹟に対する仏教徒の態度
31、平凡なる殉教者地にあふれるならば
32、過去は生きている
何処へ行くにも、必ずウチワ太鼓を打って歩く人がいました。不審に思って、或る時、思い切って尋ねてみました。
「あなたは、何時もお太鼓を打って歩かれますが、何か深い
わけでもあるのですか。」その人は、にっこり笑って、静かに答えました。言葉は簡単でした。
「私は、お題目ほど有難いものはない、と感謝しています。そして出来うれば、一人でも多くの人々に、このお題目をお伝え致したい、と願っているものです。
然し私は、学問もありません。話しも下手です。そこで、せめてもの、道を歩く時は、お太鼓をうち、お題目を唱えて、本仏のお題目は、本仏のお題目のままに、これをお伝えしようとしているのです。
若し少しでも私の祈りが、何かのお役に立つならば、せめてもの、世間さまに対する報恩になりましょうから……。」
〈二巻九月号〉